平成26年度税制改正案の主なポイント・中小企業関連
平成26年度税制改正法案は2月4日、国会に提出され3月末までには成立・公布される見通しです。今回の改正案のなかで中小企業に関係する主なものは以下の通りです。
復興特別法人税の廃止
平成24年4月1日から平成27年3月31日までの3年間を適用期間として始まっている復興特別法人税を1年前倒しで廃止というものです。これにより法人実効税率(国・地方を合わせた表面税率)が38.01%から35.64%になり、約2.4%の引下げとなります。
交際費課税の拡充
中小企業については現行「(1)定額控除限度額(800万円)までの交際費の損金算入」が認められていましたが、今回の改正案で交際費等のうち「(2)飲食費の50%を損金算入」できるようになります。(2)については大企業も対象で、中小企業は(1)と(2)の選択適用となります。
飲食代を交際費として1,600万円使っているケースであれば(1)あるいは(2)のどちらを選択しても800万円が損金として算入可能。飲食代を交際費として2,000万円ほど使っている中小企業であれば現行では(1)を適用して800万円が損金となりますが、(2)を選択すれば1,000万円を損金として算入することが可能となります。
所得拡大促進税制の要件緩和・延長
これは従業員の給与等の支給額を増加させた場合、増加額の10%を税額控除できる制度。ただし法人税額の10%、中小企業等では20%までが控除額の限度です。現行の要件は下記のとおりです。
- 給与等支給額が基準事業年度の給与等支給額と比較して5%以上増加していること
- 給与等支給額が前事業年度の給与等支給額を下回らないこと
- 平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと
今回の改正では、適用要件を緩和するとともに、期限を平成29年度末まで2年間延長します。要件として給与等支給額の総額を24年度から5%以上増加させなければならなかったものを下記のとおり2~5%の範囲に緩和。また給与等支給額の平均額も増加させなければならないのですが比較対象者から退職者や新卒採用者などを除いて計算できるようになります。平成25年度当初にさかのぼって適用されます。
項目 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 |
現行 | 5% | 5% | 5% | - | - |
改正案 | 2% | 3% | 5%(延長) |
中小企業投資促進税制の拡充・延長
この制度は中小企業が行う設備投資を即時償却または税額控除を可能とする制度。今回、税額控除を利用可能となる法人が資本金1億円までに拡大(現行は資本金3,000万円まで)。また資本金3,000万円までの法人に対して税額控除割合を10%にアップ(現行は7%)。適用期間は平成26年1月20日(産業競争力強化法の施行日)から平成29年3月31日までの3年間です。
生産性向上を促す設備等投資促進税制の創設
先端設備の導入、生産ラインやオペレーションの刷新・改善のための設備投資について即時償却または5%税額控除を可能とする制度(平成28年度は50%特別償却か4%税額控除)。
対象となるのは、製造業のみならず、物流・流通サービス業をはじめとする非製造業も活用可能。適用期間は平成26年1月20日から平成29年3月31日までの3年間です。
中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入特例の延長
取得価額30万円未満の全ての減価償却資産(建物、機械装置、器具備品、工具、ソフトウエア等)を対象に、全額即時損金算入を認める制度。平成26年3月31日で適用期限が終わりますが平成28年3月31日まで2年間延長されます。
給与所得控除の引き下げ
高所得者の給与所得控除が縮小されます。平成28年分より、給与収入1,200万円超のケースの給与所得控除の上限額が230万円になります。平成29年分からは、給与収入1,000万円超のケースの給与所得控除の上限額が220万円になります。
区分 | 現行 | 平成28年分 | 平成29年分以降 |
上限が適用される給与収入 | 1,500万円超 | 1,200万円超 | 1,000万円超 |
給与所得控除の上限額 | 245万円 | 230万円 | 220万円 |
消費税「みなし仕入率」見直し
消費税における簡易課税制度が見直され「金融業及び保険業」のみなし仕入率が60%から50%に、「不動産業」のみなし仕入率が50%から40%に、それぞれ引き下げられます 。平成27年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。
消費税の軽減税率導入
平成26年度の税制改正大綱では消費税の軽減税率について、税率10%時に導入するとされています。詳細については平成26年12月までに結論を出して、与党税制大綱を決定するということです。
以上はいずれも改正案です。成立した場合でも内容が変わることもありますのでご注意ください。
- 2014年02月24日
- カテゴリ:税制改正