事業承継税制の適用要件を大幅に緩和/25年度税制改正案

 平成25年度税制改正案では、今まで使い勝手の悪かった『事業承継税制』の適用要件が大幅に緩和されています。平成21年に創設された同税制ですが要件の厳しさから認定件数はこれまでで500件ほど。この改正案が成立すれば適用対象が大幅に増えることが予想されます。事業承継は多くの中小企業が抱える喫緊の課題ですから改正案の概要だけでも押さえておきたいと思います。

 事業承継税制とは「後継者(先代経営者の親族に限る)が、先代経営者から相続・贈与により非上場株式を取得した場合に、その80%分(贈与は100%分)の納税を猶予。5年間は厳しい『適用要件』を満たしている必要があります。5年後以降も株式を保有し事業を継続すれば、後継者死亡(または会社倒産)時点で納税が免除される」というもの。平成21年度に創設されていますが、この『適用要件』の厳しさ故に認定件数は平成24年9月までの4年間で549件(相続381件、贈与168件)に留まっています。

 現行の事業承継税制を使って納税猶予の適用を受けるためには相続開始前に一度、経済産業大臣の確認を受け、相続開始後に認定を受ける必要があります。そして5年間は「親族の後継者が代表を継続、先代経営者は役員を退任、雇用の8割以上を毎年維持」するなどの『適用要件』が義務づけられます。これが満たせなくなると納税猶予は打ち切りとなり猶予されていた相続税・贈与税額に利子税も加えて納税しなければなりません。

 今回の改正案では承継対象者を親族から親族外にも拡大。先代経営者が役員から退任しなければならないという点についても代表を退任すればよく有給の役員としては残れる形としました。また雇用の8割以上維持についても毎年維持しなければならないというものから5年間の平均で8割以上維持に緩和されました。その他、手続きについても大幅に簡略化されています。
 なお改正案が国会で成立すれば施行は平成27年1月からとなります。

■平成25年度事業承継税制改正案

主な適用要件 現行 25年度改正案
後継者 先代経営者の親族に限定。 親族に限定しない。
雇用8割維持 5年間毎年維持。 5年間の平均で評価。
利子税負担
(認定取消時)
要件を満たせず納税猶予打ち切りの際は、納税猶予額に加え利子税の支払いが必要。 利子税率の引下げ(現行2.1%から0.9%に)。
承継期間が5年超で、5年間の利子税を免除。
相続・贈与から5年後以降は、後継者の死亡または会社倒産により納税免除。 民事再生、会社更生、中小企業再生支援協議会での事業再生の場合には、納税猶予額を再計算し、一部支払い免除。
先代経営者退任 贈与時に役員を退任。 贈与時に代表者からは退任(有給役員として残留が可能)。
事前確認制度などの手続き 経済産業大臣の事前確認が必要。 事前確認制度を廃止。
提出書類が大幅に簡略化。
株券発行が不要。
納税猶予額計算
(債務控除)
事業と関係ない先代経営者の個人債務(住宅ローン等)や葬式費用が猶予の対象となる株式評価額から差し引かれるため、納税猶予額が少なくなることがある。 事業と関係のない個人債務は個人財産から差し引く方法となるため、個人債務により、納税猶予額が少なくなることがない。

 現在開催中の国会で審議・成立する予定の平成25年度税制改正案にはこの事業承継税制のように中小企業経営に影響を及ぼす改正が多数含まれています。早め早めに内容をキャッチアップし、有効な情報提供を行っていきたいものです。


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