士業ならこれだけは知っておきたい5つのポイント・改正労働関連法

 昨年から改正労働関連法の施行が続いています。主なところで労働契約法、高齢者雇用安定法、労働者派遣法の3つ。合計で20項目以上の改正が行われています。内容は厚生労働省のホームページやパンフレットで確認できますが、社会保険労務士の方以外には理解できない難しい言葉が並んでいます。ただ改正への対応をおろそかにしていると、あとでボディーブローのように効いてくるものが多いのも事実。そこで、中小企業を支援する士業・専門家のみなさん(社会保険労務士の方は除く)に絶対知っておいて欲しい5つのポイントをまとめてみました。経営者の方もとりあえずはこれだけは押さえてください。

パート・アルバイトも正社員にということなのか。

改正労働契約法

「無期労働契約への転換」

「不合理な労働条件の禁止」

 平成24年8月に成立した改正労働契約法では3つの改正項目がありますが、今回注目しておきたいのはこの2つ。

 ひとつは「無期労働契約への転換(平成25年4月1日施行)」。この言葉だけ見てもなんのことかわからないと思いますが、「有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルール」と解説されています。つまり、1年契約の有期雇用契約を繰り返していた場合にはこの期間が通算で5年を超えると、労働者が望めば正社員と同じように期間の定めがない契約に変えなくてはならいということ。パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託など職場での呼称にかかわらず、有期労働契約で働く人であれば、すべての方がこのルールの対象となります。
 なお、有期労働契約とその次の有期労働契約の間に、契約がない空白期間が6か月以上あるときは、空白期間より前の有期労働契約は通算契約期間に含めなくてよいという規定も盛り込まれているところがくせものです(これを「クーリング」という)。

 もうひとつは「不合理な労働条件の禁止(平成25年4月1日施行)」。これもこれだけでは意味不明なのですが「有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止するルール」と解説されています。パートやアルバイトの方に正社員と同じ内容の仕事をさせる場合、有期契約だからという理由で労働条件を変えることを禁止するものです。この相違させてはいけない労働要件には災害補償、服務規律、教育訓練、付随義務、福利厚生など、労働者に対する一切の待遇が含まれるとのことですが、これは非常にわかりづらいところです。有期契約労働者を雇用されている会社は一度、専門家に有期雇用契約書の内容と実際の取り扱いを確認する必要があります。

定年年齢を65歳以上に引き上げるということなのか。

改正高年齢者雇用安定法

「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止」

 平成24年8月に成立した改正高齢法では5つの改正項目がありますが、重要なものは「継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止(平成25年4月1日施行)」。これも現行の高齢法を理解していないと意味がよくわかりませんが、国は65歳までの雇用を確保するため「定年を引き上げる」「継続雇用制度を導入」「定年を廃止」のいずれかを行うように企業に義務づけています。その中の「継続雇用制度を導入」については当初、一定の条件を満たせば希望者全員を継続雇用しなくてもよいという内容でしたが、今回の改正では希望者全員を継続雇用しなければならなくなります。ただ、今までと同じ労働条件での雇用継続が義務づけられているわけではありません。厚生労働省の説明では「改正高齢法の趣旨を踏まえたものであれば、最低賃金などの雇用に関するルールの範囲内で、フルタイム、パートタイムなどの労働時間、賃金、待遇などに関して、事業主と労働者の間で決めることができます」となっていますので、この点もやはり社会保険労務士などの専門家と自社にあわせた対応策を検討しておく必要があります。

『派遣社員を雇用する会社の責任はどこまで重くなるのか。』

改正労働者派遣法

「離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することの禁止」

「派遣先の都合で派遣契約を解除するときに講ずべき措置」

 改正労働者派遣法は11項目が改正され、うち10項目は平成24年10月よりすでに施行されています(一部、平成27年10月1日施行予定)。この中で派遣会社から派遣社員を受け入れる一般企業が特に注意しておいた方がよいと思われる項目は2つ。

 ひとつは「離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することの禁止」。これは退職した社員を元の勤務先に派遣社員として派遣することを禁止するとともに、元の勤務先の会社がこの方を派遣社員として受け入れること自体も禁止するものです。

 もうひとつは「派遣先の都合で派遣契約を解除するときに講ずべき措置」。これは、派遣労働者の雇用が失われることを防ぐため、派遣先の都合により派遣契約を解除する場合には「派遣労働者の新たな就業機会の確保」「休業手当などの支払いに要する費用の負担など」の措置をとることが派遣先の義務となっています。派遣契約時にはこれらの措置について明記しなければなりません。現在、派遣社員を受け入れている会社はこの点について契約内容の確認が必要です。

 以上の5つのポイントはしっかりと押さえておきたいところです。その他の内容についても可能な限り確認されることをおすすめいたします。

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