法改正でパート・アルバイト・契約社員が使えなくなるって本当?
今年4月の改正労働契約法の中で経営者がもっとも注目しているのは、「非正規雇用5年超で無期雇用に転換」のルール。これは契約社員でも5年を超えて勤務すると、本人の意向で正社員と同じように期間の定めがない雇用契約にしなければならないというものです。
パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託、非常勤…。呼び方は企業によってまちまちですが、いわゆる正社員以外の労働形態で働いている人の多くは、1年契約、6か月契約など期間を区切った労働契約(有期労働契約)で雇用されています。現在、有期労働契約で働く人は全国で約1,200万人と推計され、その中の約3割は契約の更新を繰り返し、通算5年を超えているという実態があるそうです。
労働者にとって有期労働契約の最大の問題点は「雇用不安」。契約期間が終了に近づくたびに、更新されるのか、されないのかと不安を抱いています。そこで今回、「雇用の安定」を目的に法改正が行われます。有期労働契約が反復更新されて通算5年間を超えたときは、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換する、というルールに変わります。
【例】1年間の雇用契約で働いているA子さん
契約更新を5回繰り返し、勤務6年目に入ると「正社員の方と同じように期間の定めのない雇用にしてください」と申し込むことができます。
申し込んだ時点で、企業側は期間の定めのない雇用への転換を承諾したことになり、6年目の契約が満了した日の翌日からA子さんは期間の定めがない労働契約(無期雇用契約)で働くことになります。
労働者は求めていた「雇用の安定」を得ることができるわけですが、企業側にとっては大きな悩みになります。有期契約社員を最大限活用したいが、無期雇用への転換は避けたい、という思いが強いはずです。しかし、それを恐れて期間到達前に雇止めをする、更新しても最長5年までという契約をするなどの考えは、「雇用の安定」という法改正の趣旨に反してしまいます。
今回の改正内容は複雑なため、さまざまなところで改正労働契約法のセミナーが開催され、実務的な質問が飛び交っていると聞きます。理解度もまちまちで、誤解したまま悩んでいるケースもあるそうです。
- 5年以上働いている契約社員から申し込みがあれば、正社員にしなくてはならないのか?
- 正社員と同じ職務内容の契約社員を無期雇用に転換した場合、労働条件も正社員並みにしなければならないのか?
- 就業規則等に「有期労働契約は5年を超えて更新しない」といった条文を追加すれば問題ないのか?
- 60歳定年で再雇用した嘱託も、通算契約期間が5年を超えると無期契約になるのか?
- 有期労働契約を確実に5年で終了させるにはどのようにすればよいのか?
と、誤解混じりの疑問をいくつかあげてみましたが、みなさんは、すべてに明解に答えることができるでしょうか。
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